Carpe Diem

Think good thought.

コーヒーを飲むのに最適な場所

 

 コーヒーを飲むのに最適な場所はどこか。これは非常に個人的な問題だ。それでいて多くの人にとっても重要度の高い問題になり得るだろう。あまり緊急性はないかもしれないが。ちなみに、自分に取っては問題でも何でもなくて関心はあるがこだわりはない。思い出したり空想してみて時間を楽しむには十分な問いであり、出てきた答えや意見(と呼ぶにはふさわしくないかもしれないちょっとした考え)を彼女がいるならます彼女に伝えたくなる程度のものだ。聞いていて笑ってくれる人だったらなおさら嬉しい。このようにいろんな修飾をもちいて本題からはなれてしまっても誰も気にしない話ではあるかもしれない。

 秋になると、コーヒーのにおいを思い出す。そしてなぜだかあのときに戻される。10代最後の歳だったろうか、正確には覚えていない。そこはネバダ州の小さなロッジ。木の香りがする。部屋は清潔で広くて寝るには十分だった。朝、4時頃、前日早く寝たせいもありとても早く起きた。そして誰もいないロビーに行ってコーヒーをカップに入れた。そして多くのホテルがそうであるように、誰も待っていないようなりんごを一つか二つとってかじった。それから外に出る。9月なのに気温は氷点下だったと思う。空は少しづつ明るくなっていった。最初は黒い空。星が近くて空が広い。それからだんだん赤くなってくる。そんな空を一人で眺めながらとても熱いコーヒーを冷ましていた。暗い中で白い湯気が立っていたのを覚えている。外に出るために階段を上ったこと、重いドアを開けてもの凄くしんみりとした身体にまとわりつくようでぴったりとした寒さと空気の張り。そして、コーヒーのにおい。そんなことをいつも秋になると思い出す。コーヒーは味よりもにおいが肝心なのだ。

 あるいは、シアトルのパークプレイス。スターバックスで朝コーヒーを買って近場を散歩する。車が行き交うのを見てから芝生の上に寝転ぶ。今日も空気は澄んでいて空は高く青い。セーフコフィールドがはっきりくっきりと見える。もうちょっと寝ようという気分にはならないしこの素敵な朝の時間を通りすがりの人々と共有したくなる。挨拶したくなるような朝を主役とは行かないが演出してくれるのがそのコーヒーだ。それもきっと八月の終わりか九月の始まりだった。

 秋になると、僕はコーヒーのにおいを思い出す。あつくって甘いコーヒー。それでいて外は冷たくて寒いんだけど空気が美味しい。