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観光学とは何か

 

 「観光学キーワード」という山下晋司さんの本を今日読んだ。8章にわたり、100個の観光キーワードについての簡潔であり貴重な説明が網羅されている。これを読んでみて思ったことが、この本に載っていることがすなわち、観光学部で学べることだということ。日本に観光を専門に勉強することの出来る大学や学部はそれほど多くない。自分が大学で観光学部に所属し、4年間学んできたことのほとんどはこの本に載っている。文献や資料もこの本は非常に充実している。この本一冊があれば他の本は要らないのではないかと思ってしまう程であった。その時々に必要に応じて図書館で借りれば事足りる。資料や図に関しても授業で見たものばかりで、当時は必死にノートに移したりメモをしていたがその必要もなかったかと思うくらい。

 キーワードは多岐にわたる。観光学部と人に話したときにほとんどの場合何を勉強しているのか、何を学んだのかと聞かれる。観光は広い文化を扱っているのでその総体を一言で表すことは難しい。それに加えて一般の人にも身近なものではあるが学問としての認識はそれほど高くないと思う。観光は学ぶものでも何でもなくてするものではないかともいわれるし、経営を学んでいますといったような一言ですんなり受け入れられるようなものでもない。

 旅行や観光の起源、歴史、キーワードごとに質問をされたらそれぞれにしっかりともしくは普通の人よりは答えを長く述べられるのが観光学を学んだ人ではないだろうか。例えば、オルタナティブツーリズムとは何か、ダークツーリズムの何が問題視されてどこに可能性があるのか。文化財の保護、地域活性化に町おこし、文化の切り売り、ホストとゲスト。まともに授業を聴いていなくたってこれらのキーワード自体への感度は観光学部なら文句無しに高くなる。

 観光自体が大好きな人が学びにくるし、当たり前だが特に興味がない人も大学には多かった。観光学部で何が学べるのかと漠然に疑問を感じてみたらこの本を読んでみると良い。ほとんどの答えはそこに載っており、細かく掘り下げたものを授業で聞く事が出来る。加えて国内外で活躍しているビジネスマンの話を聞く事が出来る。こちらの方が価値が高いというか面白いことは間違いない。基礎があってこそではあるが。もちろん、振り返って読んでみるとすんなり行く一冊ではあるが初心者でも十分に理解できる。そして、それぞれの項を解説している編者もわかる。観光学とは何かの答えとなる一冊。ちなみに観光を専門に学び旅行、観光業界に就職する人の割合は25%に満たない。