Carpe Diem

Think good thought.

New York (Chapter 2)

初めて訪れたときは真夏だった。

それまでニューヨークのことはほとんど知らなかった。

これまで毎年、しかも夏にアメリカを訪れていたがいずれも西海岸だった。

自然を満喫して、気候も心配したことがなかった。

滞在は合計で1ヶ月に満たないほどだったと思う。

温帯雨林やグランドキャニオン、広大で雄大な自然がアメリカという国のイメージだった。

初めてニューヨークを訪れたのは、アムトラックでワシントンD.Cからという方法だった。

地図を見ながら、少しずつ目的の場所に近づいているのがわかる。

ペンステーションとは一体どんなところなのだろうかと考える余裕もほとんどなかった。

実際に訪れるまで、ニューヨークのことはほとんどしらなかった。

エンパイアの名前を知っていたかも怪しい。

唯一写真で見たことがあったのはブルックリンブリッジ。

名前もなんとか覚えている程度で、飛行機で隣に座った女性に見せてもらった写真がその場所だったので頭の隅に残っていた。

アムトラックの車窓からは、あらゆる景色を見ることができた。

田舎町、ビル、湖に畑。

あっという間に近づいていく。

席の取り方がわからず、急いで列に並びなんとか通路側を確保した。

隣の大柄なビジネスマンと自分で窮屈に座りながら、隣が空いてから窓の方へ移動した。

一時も気が抜けなかった。

もちろん興奮による緊張のせいで、もしくは緊張による興奮のせいで。

車窓を眺めながらずっとイメージしていたのはThe Great Gatsbyのこと。

その当時昔の映画すら見ていなかったので、文章で読んで自分でふくまらせたイメージしかなかった。

ものすごく埃の舞う、人の顔が大きく載っている広告があるのかもしれないと心を躍らせていた。

その瞬間はとても楽しかった。

マンハッタンに近づいてから、初めて高層ビルが見えてきたときは驚いた。

遠くから見えるせいか、最初はその規模もうまくつかめず、こんなものなのかと戸惑った。

天気も次第に悪くなり、ビルの上の方にも墨の色のような雲がかかり始めた。

到着して、急いで車両から降りる。

行き先に自信がないので大勢の人についていく。

そして、地上に出る。

信じられないほど雨が降っていた。

しかしそれは天気雨で、彼方から日差しがさしているのがわかった。

コンクリートの匂いに雨の匂いが混じる。

町の活気、落ち着いた建物にあふれる人々。

びしょ濡れの路地には水があふれていて長靴を履かなければ歩けないというほどだった。

黄色いタクシーを捕まえて行き先を告げる。

一方通行について説明をされる。

窓から見る町はこの上なく新鮮だった、

今でも思い出すだけで興奮する。

大粒の雨、その向こうに見える教会や歴史のあるビル、あらゆる国から来たと思われる観光客。

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初めて落ち着きを得て、自分がニューヨークにたどり着いたことを認識したときだった。

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