Carpe Diem

Think good thought.

限り

 

 何事にも限界は存在するのだろうか。それは自分で決めることだ、とかいう話ではなくて単純な疑問として。なんとなく限界があるな、と感じてしまった瞬間にそこにはもう限界というものが存在しているとは思う。自分でこの能力を極めようと思ってもうまくいかないかもしれない。どうでもいいことでも勝手に限界がやってきていきなり終わってしまうこともある。おそらく、限界とは時期を問わずに向こうから勝手にやってくるようなものではないかと思う。それはある意味、奇跡と同じようなものだ。奇跡を信じるのと同じくらい限界のことを信じたほうがいいのだろうか。奇跡くらい滅多にないものだけど、決してないものではない限界。面白い仮説だ。

 限界という言葉も多くのものに言い換えることができる。例えば期限。これはわかりやすいしほとんどが、というかそもそも時間に対して与えられた言葉が限界なのかもしれない。もう間に合わない、全てを使い切ってしまった。そこに限界がやってく。つまり持っている、持っていた技術や経験などが熟しこれから衰退に向かっていく。もう終わりが来たのだと告げられる。これはわかりやすい。プロフェッショナルのスポーツ選手。それは観客にも判断できるほどわかりやすい場合がある。運動量が落ちてきた、体がついていかない、明らかに技術が低下している、見ていてかつてほどの輝きを感じられない。これは賞味期限が切れたような感じだ。もうピークを過ぎてしまった。そしてピークという言葉があるようにあるものには絶頂、頂上が存在する。一番上まで登って降りていく。そこからまた登っていく人もいるだろうが、それを乗り越えたり同じ位置までたどり着くことは少ないだろうし一般的には困難だと捉えられている。限りある時間、限りある命という表現がよく使われる。自分ではどうしようもないという意味もそこには含まれている気がする。どうしたって自分の命の長さを決めることはできない。全ての物事にはいつか終わりが来ると言ったような感じで。

 他にも限りは同じような意味というか関連を持つ言葉をいくつか有している。挫折や諦めもある時はそれに当てはまるのかもしれない。それはなぜかと考えてみたけどやはり限界があるからだ。時間だけじゃない。先ほども触れたが能力や技術にも限りがある。両手が同じくらい器用に使える人もいれば片手ですら満足にコントロールできない人もいる。それぞれの人に適した場所が社会にはあるはずで(そう思われているのではないか)、そこにフィットしていくことが求められる。だから、ある程度の能力を持つ人は今いる場所から進んでいく。そしてそれを持たぬ者は違うレベルへと向かっていく。それは進むことかもしれないし戻ることかもしれない。いずれにせよその場所には止まっていられない。限りがあるからだ。スポーツ選手のようにわかりやすいものもあればひどく曖昧なものの方が実際の世の中には多いのかもしれない。なんとなくうまくいかない。それで限界を感じる。諦める。自分に諦める、社会に諦める、いろんな表現がある。自分の能力に限りを感じてしまう場合もあれば社会から分離されることでその限りに気づくことも。そしてそれは、生ぬるい場合には諦めと他者から決め付けられたり挫折と言ってひどく扱われることもある。それすらステップと思うかもしれないがほとんどのことは後付けでありその渦中にいる人はポジティブな想像はしにくい。けど、限りがあるからこそ次に進めるという考え方もある。

 そしてもう一つ、傾向。これは限界と似ているようで違うわけではないが響きや意味合いが少し優しい。けど、クセがある。限界なのだけど、自分ではどうしようもない特性だと知っていながらそれを生かす。そんな風にポジティブに使われる「限り」は諦めとは違うように扱われる。開き直りという表現もある。ようは物事の見方と言ってしまったら議論にも感想にもならないのだが。傾向は誰もが持っているものだと思う。それは自分を限定するものであり同時に拡大させたりと可能性を持っている。私は悲しい話かかけない。ハッピーエンドはどうも書いたことがない。これは能力の限界というよりは単なるある種の傾向と言った方が適切かもしれない。だから、限界であり、傾向であるという表現が正しいのかも。

 限られること、限りがあることは一般的にネガティブな気もする。けど、限ることで他の道が見えたり次のステップに着実に進むこともできるしそれは道標としての機能を持つ。もし、限界があるとして、ないとしてと考えてみる。限界がありすぎてもつまらないかもしれないし何事にも限りがなかったら張り合いがなくなってしまう。限りある時間で、限られた経験やスキルを用いて何に対してどう限りをつけて生きていくのか。なんていろいろ限定しないで生きていくことだって可能だ。限界はどこにあるのだろうか。