Carpe Diem

Think good thought.

繋がり

 

 人と人の繋がりについて。ある小説にも書いてあったように人と人の繋がりなんて不思議なものだ。そのときよかったかわからないことも多いし、ほとんどは後になって良かったか悪かったか明確になる。わからないまま終わることだって少なくないだろうしそれこそが幸せと呼ばれるものかもしれない。確率で考えだすと最もつまらない種類の話になってしまうのが出会いだ。誰にでも出会いはある。その方法は千差万別。タイミングだって違うし、望んだものも望まなかったものもある。コントロールできていたようで何も出来ていなかったことを後になって知るかもしれない。

 自分で挑戦してみればわかると思うが、実際出会いに関しての文章を書いてみるのは簡単ではない。出会いについては自分でもたくさん体験があるだろうし、世間でも良く語られる音である。しかしながらそれを自分が感じたように、ありのままに美しくあるいは醜く書き出すことは難しいし時間を必要とする種類の行為だ。出会いはとても偶然なものだ。それを贈り物と表現した人もいた。自己だったのかもしれないし奇跡と呼ばれるべきなのかもしれない。友達は選べるけど兄弟は選べない。家族も選べないと言われたりするが出会いは選べると考えて良いのだろうか。色々と考えていると出会いは選べるものではないと思う。自分で選択して誰かとあったことなんてないし、意志はあったとしても、それまでの機会を作り出したものはあくまでも環境や成り行き、といったものが多い。そして、望んでいない(いなかったと後で気づく)出会いだって向こうから勝手にやってくる。けど予測できないからか後からこれは良かったと思う出会いもある。その割合や感じ方は人によって変わるのだと思う。

 あなたの好きな人が、もしくはあなたのことを好きな人が、あなたと同じものを好きであることはまれだろう。同じ趣味、感覚、好み。生き方も、行きてきた道も、これからについて考えていることだってそう簡単に一致することはない。一致したってうまく行かない試しはいくらだってある。例えば自分が読んでいる本について話をした。相手がそれに強い関心を示した。自分としてはとても細かい話だし有名でもないので相手がそれほどおもしろがってくれるとは思っていなかったので驚いた。二人の会話も予想外に盛り上がり、とても親密のものを感じた。ということは行きているうちでいくらかあると思う。話を合わせるという何気ないものではなくて自分しか知らないものだと思っていたことを共有できる驚きと喜び。それこそ偶然に分類されるべきことかもしれない。宇宙の話かもしれないしラテンアメリカ文学の話かもしれない。合掌造りと言ったら白川郷と想いきや、同じく世界遺産である五箇山の話だったけど伝わるというようなものである。このように、何の話をしているか誰にもわからないようなことが伝わってしまうこともある。とても不思議なことだ。そして思うに、そのような繋がりはとても大切である。ク千津さんだ歌の一節を相手が知っているとしたらどれだけ仕合せなことだろう、と自分は考えてしまう。何気ないこと、それでいて(自分にとっては大切だけど)世間的にはどうでも良いこと。言い方を変えるととても個人的なものを共有できる瞬間。それはとても素敵な瞬間だと思う。基本的に人の好みはそれぞれだと思う。似ていることと異なるところ、共有できるものと出来ないものをくらべたら、常に前者の方がとても少ないし限られていると思っている。ほとんどすべてが違うと言ってもおかしくはないだろうしそのように信じている。それなのに、その二人が出会った時に何かのきっかけで繋がれる。The BeatlesのAnd Your Bird Can Singを彼女が知っていた。そんなことは滅多にないけど時に起こるのだ。なぜだろう。たいしたことはないのかもしれないけど、それは素敵である種の劇的な瞬間だと思う。それぞれほとんど異なる要素で出来ている人たちがある一つの共通点で結ばれる。とっても個人的なことで。そこには喜びがある。救いもある気がする。なんでだろうと思う。嘘ではないのかと疑ってしまう。出会った瞬間に、そんなことが起こるなんて。そして、出会った時にそのような印象的な出来事が起こらないと基本的に関係は続いていかない。そう考えるとすべての出会いがピークのようにも感じてしまうが、それくらいの強い力が出会いにはある。なんで、あれほど違うことを考えて違うことをして行きてきた人たちが出会った時にある一点で深い繋がりが生まれるのだろうか。その出会いは時に台風一過の様な美しさである。

 違いで人は結ばれないのか。それもあると思う。けど、限られた共通点で結ばれることの方が多い。その瞬間が見つかったなら、それは果てしなく可能性の低いことが起こっているということ。チャンスが与えられたようなもの。人生のご褒美のような。実際そのようなこともないだろうが、そう考えてしまう。そして、それに気づいたなら、その出会いを大切なものにしなければならない。