Carpe Diem

Think good thought.

プレゼントはきっかけに

 

 これまであまりプレゼントをしたことがなかった。他の人と比べるものではないかもしれないけど。これまでどんなプレゼントをしてきたかは大事なことであろう。あなたの家の本棚にはどんな本が並んでいるかという問いかけのように重要だ。それでその人のある面、もしくは全体が見えてしまうかもしれない。あなたのiPodに入っている曲は何?というくらいに気楽に初対面の人と話せる内容ではないかもしれないが、恋人や大切な人がいる人たちは、ある時期に必ずプレゼントに悩みそれについて語り合うのではないか。そう、親しい人との間で良く話題になると思う。

 昔有楽町のロフトで手帳を買おうとしていたときに見知らぬ男性に突然話しかけられて驚いたのを覚えている。同じ手帳コーナーに立っていた。自分は一人でその店に訪れ、長い時間をかけて一年間使うであろう大事な手帳を探しているところだった。そして彼は言った。「あの、少しいいですか。プレゼントに手帳をあげようと思っているんですけど、どういうものがいいですかね、流行とかあるのでしょうか。」と。手帳はとてもパーソナルなものだし、女性に手帳をプレゼントとしてあげるというのも聞いたことがなかった。しかも、その人のことも相手のことも知らないのでアドバイスは出来ないとそのときに返事をした。自分が帰った後もその人は、他の客に同じ質問をしていて、営業の人ではないかと疑った程だった。とにかく不思議な経験だった。手帳だけでなく、プレゼントはとても個人的なものであると思う。もしくは与えるものと受け取るものの間だけで成り立つものと言うか、そこには特別な親密さ、経験、体験や歴史が含まれている気がする。そもそも、それほど知らない人にプレゼントをあげようなんて普通思わないだろうから。やはり、家族、恋人、普段からお世話になっている人などにプレゼントは渡されるべきだろう。

 自分は何を良くあげていたか。そもそもプレゼントをあげるという行為に興味がなかった。むしろ否定的であったくらいだ。自分では良くもらっていたにも関わらずに。返すのが厭だ、苦手だという人がいるかもしれないが自分もその一人だったのかもしれない。面倒だからとかではなくて、その人に何をあげればいいか考えることに難があったからかもしれない。しかし今思えば、そんなことは子どもの言い訳のようなもので失礼と言うかしょうもないことだ。一つこだわっていたのは出来るだけオリジナルなものにしようということ。あの頃はまだ自己満足と言うか、もらう相手よりあげる自分のことを考えていたのかもしれない。お金をかけようと思ったことはなかった。これまでに自分が手にしてきた大切なものやちょっと変わったもの(例えば旅先で買ったもの、フィリピンでしか買えないおもちゃとか)をあげたりしていた。もちろん相手は気に入ってくれることもあれば本当に的外れになってしまうこともあった。笑えるときもあれば、笑えないときも。そして、オリジナルということで自分でつくったり集めたりもした。既製品はとにかく買ってあげたりしたことはない。海外にある限定品を探したり買ったりはしたが、ありふれた既製品をあげようと思ったこともない。仲がいい人ならその人と一緒にいた期間のアルバムをつくるというのが良くあると思うが、そのようなやり方を好んでいた。それはとってもオリジナルだし価値があると思ったから。けど、あまり相手のことを考えていなかったのかもしれない。あと、花はあげること自体が好きだ。もらって困る人は何人もいたが。

 そして今、それがどう変わったか。「きっかけ」を重視している。そうしたくなった。前よりプレゼントをあげたくなった。そしてそれは、その相手に対して何かきっかけをもたらすものにしたいと心から強く思っている。こだわりはそれだけで、もう自分のことはほとんど考えていない。例えば、将来海外に行こうと思っている人には航空券。これから新しいことを始めようとしている人にはパソコン。もちろん個人的に必要としているものを。そして、きっかけとなりより大きなきっかけをもたらすものを。時期も大切。勝手かもしれないが、その人が求めていて(求めていそうで)時期を待っているものなんかはそれが明らかなときに勝手に買ってしまう。三ヶ月以内に使わなければいけない航空券を買えば、イタリアに語学留学に行こうか迷っていた人はいかざるをえなくなってしまう。そんな勝手なこれまた自己満足かもしれないが後押しと言うかもっと可能性を生み出すものをきっかけとして提供したい。パソコンが変われば出来ることも増えるし、MacBookならiPhoneにしようと思うかもしれない。これは一つの例として。その人に必要そうなものでもっと可能性が広がるもの。それをプレゼントできるとしたらそれは自分に取ってもとても光栄なこと。ただ、お金があまりないときは頭を使わないといけないけど。