千畳敷、大銀杏、円覚寺、十二湖、大崩、不老ふ死温泉
青森県。
東日本で訪れるのはこの場所が最後となった。
現代の夜行バスの質の高さに驚いた。
全席コンセント、仕切りのカーテンがありほぼ個室、ライト、フットレス、アイマスク、タオル、スリッパ。足を伸ばせるスペース。
車内にトイレもあるので気を使う必要もそれほどない。
昼前に青森駅について驚いた。
駅が小さい。
想像していたものの何分の一か。
小さすぎて本当に青森駅なのかと疑った。
新青森駅についてお土産屋さんや駅自体が大きいことに安心した。
まずは日本海側へ。
茅葺き屋根の家がいくつか見られた。
天気はよいものの岩木山の頂上を見ることは出来なかった。
広い水田。
青空と白い雲。
金に近い水田がとても美しかった。
空気も美味しく感じた。
道も広く車があまり走っていないためか快適だった。
円覚寺は綺麗。
自然と調和している感じ。
千畳敷はとても広いという感じでもなかった。
あまり見慣れた景色ではないのでそれなりに面白かった。
地形もずっと同じではなくて時々変化があるから良いのかもしれない。
海の近くに山がある。
その間に水田がある。
時々大きな岩が現れる。
微妙な変化を楽しむことが出来た。
日本一の大銀杏。
これより大きい銀杏を見たことがある気はする。
観光地化されていなかった。
説明されていなかったらまず気づかないであろう。
十二湖。
白神からは少し離れている。
バッファーゾーンにも遠く、全く及んでいない。
有名な青池などは気軽に行くことが出来て驚いた。
いくつかの湖は、池は美しかった。
最も短いコースを歩くだけでも池やブナの原生林を手軽に楽しむことが出来る。
そこから大崩の方に進んだ。
3時間コースを2時間強で回ってきた。
道がない。
途中目安になるものはテープのみ。
急な斜面を上り続ける。
木は美しく緑が優しい。
一人で歩いていたらまず引き返すであろう道を必死に歩き続けた。
途中がけもあり落ちたら命が危ないと思う箇所もいくつかあった。
頂上も本当に危険。
しかしながらそこからの景色には感動した。
今までに見たことがない種類の景色。
これからもおそらく見ることはないと思う。
夕日の日本海。
そこから十二湖のいくつかを見渡すことが出来る。
写真では全く伝わらない景色が白神にはたくさんあった。
青池も、大崩からの景色も目の前にしないと全く伝わらない。
帰り道、とても大切なことに気づいた。
全く音がしない。
周りで全く音がしなかった。
鳥も鳴いていない。
虫も鳴いていない。
風の音、木や葉っぱに風が当たっているはずなのだが何も音がしない。
歩くのをやめて止まると、初めて無音状態であることに気づいた。
これはとても特殊な感覚でしばらくすると音が鳴っているような錯覚を覚える。
日常で音が無くなることはまずない。
というか絶対にあり得ない。
これまで音が無くなった経験をした記憶がない。
白神ではそんな体験をすることが出来た。
そこで思った。
世界で音がない場所はどれほどあるのだろうか。
音がある場所とない場所、地球上ではどちらが多いのだろうか。
水があれば、波があれば音は鳴ってしまう。
砂漠はどうだろうか。
音がないということは凄い特殊なことではないだろうか。
一年に一度そういう場所に行ってみるのは良いかもしれない。
温泉へ向かう道中で、これまで見たことない程に大きい夕日を見た。
目の前に急に現れて言葉を失った。
後に叫んだ。
これほど大きく真っ赤に燃えている夕日は見たことがなかった。
その後見えた月も以上に明るくて日本海に映るその光は眩しくて素敵だった。