生きているうちで、そんなものに時間を費やすのは無駄だという物事はいくつかある。その時間を有効に他のことに使うことが出来るだろうという考え方。自分で思うというよりそれは、他人の行動や思考に向けて伝えられる言葉ではあるかもしれないが。
失ったもの、後悔、悲しみ、失敗。良いことの反対と簡単に捉えられるものがいくつかある。そしてそれらは基本的にやはり良くないと捉えられている。深く考えなければマイナスよりプラスの方が良い気がする。そしてそれは正しいだろう。人を傷つける。過ちを犯す。そんなことをしているより、そんなことが起きてしまうよりは楽しいことや素敵なことが起こった方が楽しく感じるし次にも何か自分を良い方向に導くことが起きる気がするのではないか。
トレードオフという考え方がある。ある方を、あるものを選んだらもう一方は得られない。もしくは、一方を選ぶということはある一方を選択しないという選択をしているということ。あらゆるものがトレードオフで成り立っていると言われている。そもそも何が、どこからどこまでが選択かを見分けることすら難しいのは否めないが。
多くの場合、そして多くの人は選択の一面しか見ていない。見たくないのかもしれない。積極的にそれを選び取るという行為。たくさんの中から一つだけの道を自分なりに見極めて決断を下し、良くなるために選択する。悪くなるために判断を下すということに人はなれていないのかもしれない。そしてそんな必要はないのかもしれない。二者択一においても、強く自分が選択していることを感じる。しかし、一面しか見ていないことは少なくない。それを選択することによってどのような今後が予想されるのか。それがどのように自分に対してプラスに働いていくのか。その選択を支えていく積極的根拠や後付けを必死に探して自分を支えていく。けど、自分が同時に何を失っているかに関してはきわめて無自覚である。いや、積極的に思考停止したり考えることすらやめることに力を注いでいることが多いのではないか。
自分が何を得ているのか、同時に何を失っているか。
失うものを考える時間は無駄かもしれない。自分にとってはそうではない。ある一面しか考えなければもう一方を失い続ける。人生の楽しい面だけを見続けようと思っても失う悲しみや苦しさがわからなければ人生の更なる楽しみはない。自分は何を得ているのか、同時に何を失っているのか常に知っておきたい。
