Carpe Diem

Think good thought.

カフェにて

・  カフェにて

Aは旅行をしている。一日中歩き回って歩き回って、島をわたって今日は多様な国籍で洗練された空間に来ていた。外資系デパートのお12階においてある光景を目にした。カフェがある。日本の会社のカフェ。いろんなものを扱っているが料理や飲み物は至ってシンプル。テーブルも椅子も期で統一されて観葉植物の緑が空間に暖かい空気をもたらしている。その一角に男が一人座っている。Aは歩きながら、少し早足で通り過ぎていく中でその男のことを目にした。時間にして一秒を過ぎたか過ぎないか。

 男は忙しそうだった。実際忙しかった。机にアルバムを広げていた。まだ出来上がっていないものである。Aが推測するにそれは、誕生日プレゼンとか結婚のような祝われるべき機会に送られるプレゼントの呼ばれる種類のものである。男は大量の写真を両手に抱えていた。折りたたみの財布の大きさのような写真。ほとんどすべてに男女の仲良く楽しそうな姿が映されている。しかしながら、それは男と他の女性の写真ではなかった。男の友人なのか、上司か、あるいは親友か。よくわからないとAは思いつつも男にとって写真の中の人は親しい人であることは間違いないと思った。

 男は、忙しそうだった。それがAの一瞬に感じたもの。その前に彼は仕合せだなあとAは思っていた。時間を惜しむように、焦りながら急いでアルバムをつくっていたから。写真を選び、貴重な時間をしっかり使っていると言うように誰にでも見える動きだった。いろんな過ごし方がある中で大切な人のために必死で時間を使えるというのは幸せなことではないかと思った。どうしようもないようなことややりがいを感じないようなことに時間を使い続ける人もいる。しかしながらこの男に関しても、これをもらう写真の中の男女にしても関わる皆が温かい気持ちになるので、素晴らしい時間の使い方だな、とAは思った。けど男は忙しそうでそこが気になった。

 帰宅してからまた、Aは男のことを思い出す。彼は、男は仕合せだったのか楽しかったのか。あの光景を見たA自身もそのような光景を見られて幸せな気持ちに一瞬なっていた。しかしながら、忙しそうにしていたことが気になる。男はいやいや貴重な時間を使ってアルバムをつくらされていたのではないか。全く幸せなんか感じる暇もなく嫌々ながら作業を行っていたのではないか。はたまた、幸せでも忙しくもなかったかもしれない。Aは思った。